食卓に珈琲とチョコレートとラーメンを。
悪魔くん二次創作と管理人のきまま語りが主な内容。 苦手な方はプラウザバック推奨。 四代目シリーズ、絶賛応援中!
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本日の目標達成できて満足です。
夜も遅いですがこんばんは。
寝る前にインスト曲を聞くのは心地がいいです。
猫又masterの曲は教えていただいてから、リピート率が高いですね。
歌詞のある音楽なら、サカナクションの曲は一日に一曲は確実に聞いてます。
某イラストの雰囲気が結末として理想だというのはおいておきまして、やつらの話。
鈴木とアン、そんでもって悪魔。
夜も遅いですがこんばんは。
寝る前にインスト曲を聞くのは心地がいいです。
猫又masterの曲は教えていただいてから、リピート率が高いですね。
歌詞のある音楽なら、サカナクションの曲は一日に一曲は確実に聞いてます。
某イラストの雰囲気が結末として理想だというのはおいておきまして、やつらの話。
鈴木とアン、そんでもって悪魔。
コンサートに誘われた時は何事かと思った。
相手が鵜山なら多少はわかる。昔はピアノをやっていたような彼女ならクラシックが好きだとしてもおかしくはないのだが、よりにもよってアンである。
ただ、教えたつもりもない携帯電話の番号を知られていたことには驚かなかった。それぐらい知っていてもおかしくなさそうな気もするし、隠そうとしても彼には筒抜けになっているような気がする。
基本的にアドレス帳にない番号の電話は取らないのだが、今回は携帯電話を触っていたこともあってつい通話ボタンを押してしまっていたのだ。
「会場が壊されたらどうするんですか?」
『失礼な話だね。まるで僕が行くところは廃墟になるか、取り壊されるみたいじゃないか』
「実際、そうだったと思うんですけどね」
両手で数えるほどしか会ったことがないが、そのすべてがそうだった以上、偶然と片付けるよりも意図的であると思った方が納得できた。
『正確には君と会う場所が、ってことだね。今回は何度か行ったことのある場所だから心配しなくていいよ』
替えたばかりのシーツに皴を寄せるべく、寝転びながらアンの声を聞く。
「僕とそこで待ち合わせることによって、この町の数少ない娯楽施設が無くなるわけですね」
『疫病神みたいだね』
「違うんですか?」
顎を乗せた枕から干した洗濯物独特の匂いがする。
通説ではダニの死骸だとか糞だとか言われているが、実際のところはどうなのだろうか。
『そんな重大な役回りじゃないんだけどね』
「僕としては重大に思えるんですがね」
少なくとも魔法陣が本物だと言ったのはアンだ。それにくわえてやたらと心を読んだかのような話を持ちかけられると、通りすがりというには知りすぎている気がする。
『それなら、僕はどんな役割だと思う?』
改めて言われるとどうだろうと思う。
ヒントを探すように部屋に視線を彷徨わせる。椅子に座って机をじっと見ている悪魔がいた。
視線の先には景品で貰った十二支の置物の一つがある。デフォルメされたそれは可愛いと思ったものの隣に鵜山がいたので押し付けることを選択した。特別な理由などなく、なんとなくである。受け取れない、いや素直にもらったらどうですと問答の末。しばらく手元を凝視した彼女は全部はもらえないと口にしてウサギだけ返した。
そういえば、あの時に何か違和感があったような。
つい思考が逸れてしまって、電話口で鼻歌交じりに作業しているらしいアンに意識を戻した。
「魔王ですかね」
アンの歌っていた曲で思い出して告げれば、数秒の空白の後に彼が吹きだした。
『それはまた、大きく出たね』
「RPGで言うなら、ラスボスとか中ボスじゃないかなと思うんですよ」
『仲間にはしてくれないわけだ』
まさかアンの口から仲間なんて言葉が出るとは思わなかった。
一人きりでも平気そうに見えたのだが、意外とそうでもないのだろうか。
「名前すら教えてくれない相手を信じるのも難しい話ですね」
『そのわりには無防備じゃないかな?』
「今のところ危害を加えられたこともなければ、何か迷惑をかけられたわけでもないので」
『もうちょっと好かれていると思っていたのだけどね』
「嫌いではないですよ」
嘘でもなんでもなく。
『どうせなら好きになってもらいたいね。その時に裏切った方が魔王らしいじゃないか』
「それなら親交を深めるべく付き合いますよ、コンサート」
ウサギを見たことがないのか動物の置物が珍しいのか、恐る恐る悪魔が手を伸ばしてピンク色に触れる。
今の角度だと表情がほとんど見えない。
『そう言ってくれると嬉しいね』
断るわけがないことを知っていたくせに。白々しいとは思いつつも興味があったというのは本当だった。
待ち合わせ場所と時間を確認して電話を切る。
誘われたコンサートについては、OBと吹奏楽部が参加するため学校の掲示板にも張られていたのだ。
本来ならわざわざ行くほどではないのだが、たまたま目についた名前に通り過ぎるわけには行かなかったのだ。
「姉さん、ね」
一人っ子にはそれがどういう存在なのか検討がつかないが、少なくとも僕が一番よくしる相手にとっては身近な存在である。
参加者一覧のちょうど真ん中にあった名前は鵜山真由。偶然や親戚ではなく、鵜山の実姉だ。
鵜山が姉を悪く言っているのは見たことがない。むしろ、何らかの話題で名前が出ようものなら褒めることしかしない。
ただ、それは僕が祖父について語るのとは全く違っていた。これも僕だけの可能性があるが、それとなく情報収集をしてみれば良い姉ではないらしい。
何度か街中であったことはあるが、おしゃれ好きの男受けしそうな見た目ではあるが彼女が妹である鵜山について語る話し方は好きではない。
鵜山とは間逆に悪い点を上げていくところが、嫌なクラスメイトを彷彿とさせていい気分はしないのだ。
「コンサートって楽しいのか?」
ふいに悪魔がそんなことを聞いてくる。
行くところがあるから途中まで。
悪魔に誘われるとは珍しいと思ったのだが、考えてみれば間接的ではあれ鵜山が関係していることもあって気になっているのかもしれない。
「演者がよければ楽しいですよ」
何度か祖父に連れて行ってもらったことはあるが、やはり好みというものはあって好きになれない音というのは存在する。同じ音楽でもその人の音というのは確かにあって、上手さとは別に心地がいいものとそうでないものがあるのだ。
「音楽好きなのか?」
近くでイベントが集中しているせいか、いつもよりも賑わう通りで油断すると人にぶつかるような悪魔の腕を引き寄せる。驚いた顔をされた。
「好きというほど詳しくはないんですが、歌うのは好きですね」質問に答えてその猫目を眺める。「手を繋いだ方がよかったですか?」
迷ったものの辺りに視線を彷徨わせた悪魔は、諦めるように息をついて袖口を掴んだ。
服が伸びるのを気にするほどお気に入りというわけでもなければ、この可愛い生き物と天秤にかければ答えは簡単である。そのままにしておいた。
「歌うっていうと合唱曲ってやつか?」
「J-POPとか洋楽っていう発想はないんですね」
「ていぞくなのは趣味じゃなさそうに見えるぞ?」
低俗でいいのかどうか定かではないが、そんなイメージを持たれているらしい。
「全体的にどこにでもありそうな歌詞の曲は好きではないですね」
必然的に流行りの曲をよく知らないのはそのためだ。
聞こうと思えば聞けなくはないが、繰り返そうとは思わない。
「歌詞があるのが嫌なのか?」
「そういうわけでもないですけど……考えてみればインストの方が好きですね」
意味がないからかもしれない。
音楽の意味ではなく、歌詞に固定されてない分、気軽に歌える。
「そもそも合唱曲なんて協調性がないと無理ですよ」
「だよなー」
「言っときますけど、学校では上手くやれているんですよ?」
声のおかげというのは伏せておいたが、悪魔にはわかっているだろう。
「現代社会は嘘つきが生きやすいもんな」
まさか悪魔の口からそれが出るとは思わなかった。
誰だ、教育したの。
「てっきり嘘つきは嫌いとか言うと思ったんですが」
「悪魔が嘘を嫌いって言っちまうのもな」
「悪魔が平和を願っておきながら、今更じゃないですかね」
「人間のくせに人類滅亡を願うよりはまともだと思うぞ」
「意外とそういう人はいると思いますけどね」
そこまで言ったところで何かに気づいた悪魔が背後に回った。追うように振り返れば、いつの間にか姿が消えている。
はぐれたのかとも思ったが、途中までと言っていたことを思い出した。
この流れでメフィスト・フェレスの造語には嘘がどうとかについて話題を振ろうとしたのだが、タイミングが悪かったのかもしれない。
まあ、次でもいいか。
急ぎでもなければ、あわよくば何か悪魔の正体に近づければいい程度のものだ。
掴まれていた袖口を整えて顔を上げたところで、もしかしたらと思った。
どうやら先に到着していたらしいアンは、携帯電話を眺めながら無表情で指を動かしている。
珍しいなと思ったのは人のことを言えないのだが、胡散臭い笑顔のイメージが強いからかもしれない。
せっかくなので、近距離からではあるがメールしておこうかと携帯電話を開く。
そういえば、鵜山はこのコンサートに来るだろうか。
できれば、鉢合わせたくはないとなと思ったのは単純にアンと関わらせたくないと思ったからなのかもしれない。
電話で言った通り、嫌いではないけど。
例えば、アンなら鵜山についても知っているかもしれない。そうだとしたら、それが地雷であろうとも指摘するのがアンという人物なのだ。
人のことは言えないな。
メールを送信して携帯電話を閉じた。
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